欠損症を考える② 義歯(入れ歯)を知ろう

以前このような話を聞いた事があります。


歯医者さんで新しい義歯(入れ歯)を作ってもらったらまったく咬めなくて、作ってもらった歯医者に「この入れ歯まったく咬めないのですけど」と相談すると、「義眼で物が見えますか?義歯も同じ事で咬める訳ないでしょ!」といった歯医者がいたとかいないとか。


数十年前は、確かに入れ歯を入れて右でとか、左でとか、前でとか、痛い所をさけて余り咬まずに飲み込んだり、何でもすべて柔らかく煮込んだり、現物が何か分からないぐらいに細かく切って食べればよかった時代もありました。


入れ歯は、型をとってハイ完成!と言う物ではなく、本来は、歯科医学で構築された理論のかたまりと、それにそって設計し、製作し、調整をする、かなり難度の高い技術を要します。


咬める義歯は、歯科医自身、理論を理解し、設計からセット、調整までができ、義歯に造詣が深くなくてはいけません。と言うのも義歯を作るのは、歯科医ではなく(ご自身で義歯を作られている歯科医も少数おられます)、大半は歯科技工士さんが作っていますので、技工士さんへの分かりやすい指示が必要ですし、義歯の出来栄えの半分は歯科技工士さんの技量にかかってきます。その歯科技工士さんの技量を見抜く力も必要です。


ただ、患者さんにおいては、型を取ったらすぐに出来るとお思いの方もおられます。確かに出来上がりますが、それなりの入れ歯です。それで咬めないと言われても、咬めないのが当たり前です。


保健医療の場合、義歯は種類と大まかな材料で値段が決まりますが、歯科技工所さんが、歯科医院に請求する技工料金(義歯の製作料)は保険では決まっていません。つまり同じ入れ歯を作っても、患者さんから歯科医院の受付で義歯代を徴収する金額は同じですが、技工料金は技工所で違うのです。各歯科医院では、多少技工料が高くても技工技術が高いからとか、案に技工料が安いからなどで、技工所を決めたり様々です。


咬めない、痛い入れ歯


義歯の基本は、入れ歯が動かない事!!


基本、義歯は硬いものです。義歯は硬くなければ咀嚼時咬む力をしっかり受けとめられません。つまり柔らかい義歯では咬む力を受け止められません(義歯が咬む力により変形してしまいます)から当然咬めません(食べ物を粉砕できません)。粘膜は柔らかいですが、粘膜の下にある骨は硬いです。もし咬んで義歯が動くのであれば、硬い入れ歯と骨に挟まれた粘膜はスレて傷だらけ(褥瘡)になってしまいますので、痛いし咬む力がはいりません。


また、患者さんの口腔での問題も義歯を難しくしています。


  • 顎提(歯槽部)が少ない
  • 顎関節の異常(顎関節症)
  • 口唇圧が大きい
  • 異常な咀嚼癖
  • ドライマウス
  • フラッビーガム など

義歯の分類


総義歯(総入れ歯) 歯が1本もない所に入る入れ歯
部分床義歯(部分入れ歯) 歯が1本でも残っていてそこにクラスプがかかる入れ歯

義歯の主な材料


レジン床 保健診療、自由診料があります。
金属床 チタン、金-パラ、Co-Cr
『レジン床義歯と違い、金属床にすると厚みが薄く、温度が伝わりやすくなります』と、
よく記載されていますが「裏打ち」をすると関係なくなります。
特殊床 ソフトデンチャー、ノンクラスプ義歯、磁性体アタッチメント義歯、メッッシュ義歯
その他特種な材料を使用した義歯などがあります。

※金属床、特殊床共に自由診療のみになります。


まずは、総入れ歯(総義歯)についてご説明いたします。


1

2 3

関連記事

  1. 欠損症を考える③ ブリッジを知ろう

  2. 欠損症を考える④ インプラントを知ろう

  3. 欠損症を考える① 欠損症とは

PAGE TOP