現代社会において歯周病にかかっている方は、30歳以上で80%、45歳から54歳の間では88%、10人の内実に9人の方が歯周病になっています。また最近の傾向として、中高生も歯周病が増加の傾向にあります。大半の方はブラッシングをおこなっていますが、なぜこれだけの方が歯周病に掛かっているのでしょうか?
歯周病は、プラーク中の細菌によって口腔内の歯周組織に生じる炎症性破壊性疾患と思われている方が多いと思いますが、それは歯周病の分類の中の歯周炎や歯肉膿瘍といわれるもので、歯周炎と言われる歯周病のなかの一つの疾患です。
日本歯周病学会による歯周病の定義は、歯周組織におこるすべての疾患をさし、歯周炎や膿瘍のほかに薬や遺伝などでおこる歯肉病変、誤ったブラッシングや辺縁歯肉の炎症で起こる歯肉退縮、異常な咬合力から起こる咬合性外傷も歯周病のひとつです。
ゆえに、歯周病は、歯周病の治療による口腔環境改善だけでは効果が得られないこともあることは明らかで、患者さん個人の生活習慣改善、自助努力、さらには全身疾患ある方は、医療連携も視野に入れて歯周病治療を行わないといけません。
また歯周病の一つの因子として外傷性咬合があります。それはストレスなどからくる食いしばりによって歯周組織が押しつぶされ 血行障害が起こり歯周病を引き起こす原因です。歯周病の治療をおこなっても、また歯の神経をとる治療をおこなっても痛みが 取れないでこまっている方は、この外傷性咬合からくる歯周病の痛みかもしれません。
最近はかなりの方が咬合性外傷をもっているのではないかと考えています。
咬合性外傷を引き起こす咬合を外傷性咬合と呼びその原因は歯列不正、早期摂食、咬合干渉、ブラキシズムなどによって引き起こされます。
ブラキシズムとは咀嚼筋群の異常な緊張による歯軋り、食いしばり、カチカチと咬み合わせるタッピングの習癖のことで、通常の咬む力より、より強い咬合力が加わるために歯周組織を破壊する原因となっています。釘を木から抜くとき横に力を掛けながら抜くそれとおなじ状態です。
ほっぺたの中心あたりに奥歯辺りから前にかけて線(しかも白い線)がはいっていたり、舌の側縁が少しでも凸凹していたら食いしばりの兆候です。また、前歯の先が平面だったり欠けたような感じであれば歯軋りがあると疑われます。歯軋りは音が出る方よりも音が出ない方のほうが多いです。
特に歯周炎にブラキシズムによる咬合性外傷が合併すると病変は急速に進行し短時間で重度の歯周病に発展する場合が多く、また歯周病以外に肩こり、頭痛、顔面のゆがみ、顎関節症などを引き起こします。
歯周病の基本的治療はもとよりですが、これに加えてブラキシズムの原因と考えられる局所因子と全身因子を取り除くことも必要です。
ストレスは、自律神経の交換神経と副交感神経の不調和からきます。副交感神経が高いとうつ病に、交感神経が高いとストレスになると言われます。ご自分にあったストレス解消法を見つけましょう。