欠損症を考える② 義歯(入れ歯)を知ろう


総入れ歯(総義歯)について


総義歯は顎提に歯が1本もない場合に作る入れ歯です。部分床義歯と違い、入れ歯を安定させるための引っ掛けるクラスプ(バネ)を掛ける場所がありません。総義歯は、土手(歯肉)の周囲の組織と義歯の床のバランスとの吸着で維持します。義歯の吸着は表面張力で行われています。ゆえに義歯の表面積が広いほど、よく、粘膜と義歯床面との密着度が良いほど、外れにくいです。


下顎の義歯は、上の義歯と違い表面積は小さいです。それは、舌の存在にあります。下顎の義歯が、上の義歯と比べ慣れにくいのは、咬む、話す行為は下顎や舌を動かしますから、下の総義歯は不安定になり、すれたり、違和感がでるためです。また、唇や口腔内に存在する筋肉の動きも義歯の安定を邪魔します。


また、ドライマウスの方、フラッビーガムの方は吸着しずらいです。


総入れ歯の条件


患者さんから、「義歯がはずれる」、「入れ歯が浮き上がる」、「咬むのに痛くて力がはいらない」、「舌をよく咬む」などの相談を受けます。
原因は主に、「義歯が動く」と「義歯の咬み合わせが悪い」の2つです。


原因①義歯が動く

入れ歯が動かないためには口腔の粘膜と入れ歯の面にすきまが無いこと
入れ歯の吸着は表面張力で行われていますので、隙間があれば吸着しにくいです。


大きく口を開けても入れ歯が落ちない、浮き上がらないこと
正しい入れ歯の床の形態である事。解剖学的、機能学的に考えられた形態である事


1つの例として、正しい床の形態においては、下顎の入れ歯の後縁周囲においては、外側(頬側面)より内側(舌側面)の床の長さが長い、側方圧からの入れ歯の脱利を防ぐため列車の脱輪を防ぐ車輪の形態と同じようなもの。


原因②義歯の咬み合わせが悪い

まずは、食べ物を咬んで入れ歯が落ちない浮き上がらないこと。
食べ物を咬んで入れ歯が落ちない浮き上がることは、義歯がズレ、定位での咀嚼が不可能になり、ズレた部分の粘膜に、褥瘡を形成し痛くて咬合力が上がらず、硬いものが粉砕されにくくなります。


入れ歯のかみ合わせと口腔の咬み合わせとがズレていない事
義歯を新しく作る時点で、咬み合わせをずらして作ってしまった場合や、入れ歯の人工歯の咬む面が磨耗していない事です。磨耗した人工歯の咬み合わせは面でせっしていますが、食べ物を粉砕しようとすると、人工歯と人工歯の接触は点であるほうが物の粉砕力はアップします。


また、人工歯の磨耗は、顎位の低位を引き起こし、咀嚼力が低下したり、顎関節症を引き起こす場合があります。


原因③その他

義歯の高さが低く無い事
義歯の高さが低いと、お口の回りにしわが増え、顔が、年寄りじみた顔になります。咀嚼筋に力が入らず咬みにくくなります。舌を咬みやすくなります。


総義歯を作る場合、同じように作ってもいいのか?



写真は、無歯顎の患者Aさん(右)と患者Bさん(左)の下顎顎提模型の比較です。患者Aさんの顎提は、患者Bさんの顎提より低く、小さいです。そして下顎の真ん中には舌がはいります。当然、患者さんAの顎提(奥歯があった周囲)は舌の下に埋まる様な形になります。


患者Bさんと患者Aさんと同じような入れ歯を作って、果たして同じように咬めるでしょうか?もちろん無理です。患者Aさんが患者Bさんと同じレベルでQOLを送ろうと思えば、患者Aさんで作る入れ歯よりより高度な技術と制度の高い材料が必要になりますが、残念ながら保険で認められておりません。土手がなかったら入れ歯の安定はとても難しいのです。


フラビーガム(こんにゃく状顎堤)


合わない入れ歯を長期間使用したり、入れ歯の前のかみ合わせが強かったり、前歯があったころ歯がかなり動揺していてもそのままにしておいた場合に、こんにゃくのようなブヨブヨした歯茎になります。それをフラビーガムと呼びます。


フラビーガムの部分を普通に型をとると、型をとる時の圧で、倒された状態で型がとられます。フラビーガムの歯肉には、常に起き上がろうとする力が働きますから、フラビーガムが倒された状態の型でできた義歯では、この力が働き、義歯の吸着を阻害します。フラビーガムになると義歯の不安定要素になり、特に上顎の入れ歯はフラビーガムが進行すると、上顎に吸着すらしない(すぐに落ちる)場合もあります。


フラビーガムにならないために
  • 定期的に歯医者さんでの入れ歯のメンテナンス
  • 入れ歯の前歯でかまない

次に、部分入れ歯(部分床義歯)についてご説明いたします。


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